退職して10年たって思うこと

令和4年1月〜6月ネット上にて公表 

 いや実は県を退職してから2年間は、大先輩の要請により解散間際の外郭団体を嘱託員として手伝ったので、正確には仕事を辞めて8年と言うことになります。
 この間、色々なことがありました。お袋さんが胃癌で入院したり、私自身が全身麻酔の手術を受けたり、世間的にはコロナによるパンデミックがあったりしました。でも今回はその様なことはさておき、日常生活の変化について語ってみます。

 そもそも早期退職した一番の理由は、女房子供がいない自分の今後を考え、お袋さんが元気な内に家の中のことを知っておかないとマズイということがありました。でもその一方、悠々自適な生活ができると期待していたことは否めません。山口瞳の小説のタイトル「毎日が日曜日」なんていう日々が送れるものと期待していたわけですよ。
 ところがどっこい、そうはいきませんでした。家にいると、やりたいことをやるのではなく、やらねばならぬことをやらねばならん、という状況になるわけです。主婦の仕事ってのは無限なんですね。現在、お袋さんが中心に担当しているのは、洗濯物を干すこと(私の干し方では気に入らないらしい)、朝と夜の食事の準備くらいかな。昼飯は私の担当です。まぁ、90歳を超えてますからね。洗濯物を干すにしても、竿まで腕が上がるだけでも拍手ものかもしれません。(取り入れるのは私の担当です。)

 あと食が細いお袋さんのため、一週間一度は昼飯を食べるために外に連れ出します。
 胃癌を切除したため3分の1しか胃がないからなのか、年齢の為なのか、それとも一日中ほとんど寝ているのでお腹が空かないためなのかは判りませんけどね。
 そんわけで、行きつけの店が5〜6軒あります。そうなると顔見知りの店員さんも出来るわけで、予約もしていないのに、いつもの席空いてます〜と誘導してくれる店もできました。外食するとそれなりに、お袋さんもよく食べます。とは言え、全部は食べきることが出来ません。昭和生まれの私は、「出されたモノは、感謝して全部頂く。」という教育を受けておりますので、残りは私が頂くことになります((*^▽^*)
 スマホアプリに届く店のクーポンは勿論、GOToEatもフル活用しておりますよ。

 さて前述以外の家事は全て私の仕事になります。まぁ家計簿は死んだオヤジが病気になってからずっと私がつけてますので良いとして、まず掃除です。なんであんなにホコリが出るんでしょうかねぇ。家中に掃除機をかけるとなれば2時間では済みません。風呂掃除もシンクやレンジの掃除も大変ですけど、でも一番ビックリしたのは、トイレであります。便器の中ではありません。便器の蓋の上です。
 我が家のトイレは、近づくと自動的にフタが開くようになってます。リフォームした時は、そんな機能が必要かなとも思いましたけど、年寄りには、フタを開けるために中途半端にかがむことが結構大変になるようです。そんなわけで、フタの上を目にするのは掃除する時だけということになります。ちょっと見ただけでは判りません。しかし手で触ってみると、ここに真っ白な、とっても綺麗なホコリが乗っているワケですよ。何故ここに、こんなにホコリがたまるのでしょうかねぇ。

 また庭の草取りは戦争です。オヤジが亡くなってからお袋さんがチョコチョコやってましたけど、私が仕事を辞めた直後は、庭中を歩くことが困難な感じでした。そのため電動草刈り機を購入。幸い窓際に設置してあるコンセントがありましたので、図面から庭中を刈るには延長コードがどれくらい必要かをチェックしました。私自身は草が生えていても気にはならないのですけど、当時はヌスビトハギが繁茂していて大変でした。2年間ぐらいは草刈り機を使用したかなぁ。すると里山整備と同じで、明るくなった地面から、実に色々なものが芽吹いてくるわけです。そうなると草刈り機で何でもかんでも刈るわけにはいかず、現在は手鎌で地面に這いつくばって草を刈るという羽目になりました。草を刈ると生息する虫も変わるのですね。香川照之の「昆虫すごいぜ」という番組でも言ってましたけど、キリギリスは丈の高い草が生えていないとダメだとか。というわけで、今は庭にはいないようです。コオロギやスズムシの声は秋によく聞きますけどね。

 健康のためにしているのは、ご多分に漏れずウォーキングです。これもホントは30分でも毎日すれば良いのですけど、たとえ30分でも汗はかくし、その後洗濯したりしていると結構時間は取られてしまうし、そもそも暇が無いしということで、一週間に二度、12000歩を目標としています。これで毎日平均3千歩以上というわけですが、なかなか天候とスケジュールが合わず、2回歩けるのは希ですね。ただ、自分の住んでいる地域を歩き回るなんて事は、引っ越してきた当時の中学生の頃以来なわけで、毎回のように新たな発見があります。

 普通の家のままグループホームになっていたり、大きな老人施設が意外に多いことや、デカイ家を見れば掃除は誰がしているんだろうと思ったり、なかなか売れない新築の建て売りがあったり、普通の家の庭に、お稲荷さんがあるのを見つけたりします。その中で一番驚いたのは、庭に二宮金次郎像がある家ですね。

 あと情けないことの一つは、読書量が格段に減ったことです。通勤時間がなくなったためですね。家にいると他にすることが沢山あるためですな。今集中して読めるのは、病院で診察の順番を待っている間と、スーパーのレジで順番を待っている間ぐらいかなぁ。映画だけは、ちょっと増えました。少なくとも一週間に一度は映画館に足を運ぶことを目標にしてますが、実際は、なかなか難しいところです。

 そして、これは仕事を辞めてからしばらくして気がついたことですが、「占い」を見なくなりました。我が家では中日新聞を購読しています。今でも勿論、毎朝新聞には目を通しますが、働いていたときは、必ずテレビ欄の下にある干支占いを毎朝読んでいました。就業中は、突発的な事案が飛び込んでくることが日常茶飯事でしたのて、無意識ですけど、きっと身構えていたんでしょうねぇ。まったく読まなくなったと言うことは、今はすべて予定調和で日常が進んでいると言うことかなぁ。

 刺激がないと言えば刺激がないわけですが、少しは知的な刺激も必要と考えてはいるのですよ。実は私は、学生時代から英会話がとても苦手なんです。そんなわけで、今は「ラジオ英会話」「中高生の基礎英語 in English」TVの「英会話・定番レシピ」を視聴しています。レベルが低い?ま、私にはこれくらいがちょうど良いのです。昔は放送時間に合わせるのが大変でしたけど、今は便利ですねぇ。ネットで、聞き逃し、見逃し配信なんていうのがありますので、ホント便利になりました。結構知らなかったこと、いや私だけが知らなかったのかもしれませんが、Whomという関係代名詞は時代遅れで今は使われず、その場合でもWhoを使うなんて事も最近仕入れた知識です。それから朝ドラに合わせて始まった「ラジオで!カムカムエヴリバディ」なんていうのも聞いてます。期間限定なんでしょうが、コレはメチャメチャ面白いですよ。
 加えて徳洲会病院の医療講座も、今はZoomによるオンライン開催されていますので、受講するのがとても楽になりました。どんな講座を聞いているのかはは、私のブログで月末に報告しています。無料で本物の医師や看護師等の講義を聞くことが出来るというのは、大変貴重なものです。どれもこれもボケ防止ですな。

 一方、道楽のエレクトーンの練習時間は、就業していたときと全く変わっておらず、風呂上がりのわずかな時間だけです。退職したときは、もっと時間が取れると思っていたのですが、短時間集中型というわけですかね。

 まぁ、夢見ていた悠々自適の生活とはほど遠いわけですが、私もオヤジが亡くなった歳が近づいてきました。お袋さんを看取るまでは元気でいないとね。

(ねむり姫 63歳)