一 万 円 選 書

平成29年1月〜6月ネット上にて公表 

 いわた書店の「一万円選書」というものをご存じでしょうか。
 ある日、我が妹から「一万円選書」というものにようやく当たったから、兄ちゃんにプレゼントしたいとメールが届きました。それによると、購入する前に詳しいアンケート調査を行い、その結果に基づいて、書店側が合計金額1万円内外になるように書籍を選別して提示。それでOKならば購入手続きに入るという仕組みとのこと。

 こりゃ面白い。どんな本をセレクトしてくれるか楽しみだね、というわけで、お願いすることにしました。
 早々に転送されてきたアンケート調査は、まず、読書歴の調査というわけで、「あなたの印象に残っている本BEST20」を記載すること。また他には、仕事や最近気になった出来事、ニュース、信条、よく読む雑誌などを記載するようになっていました。

 いきなりBEST20と言われてもなぁと、過去の読書記録や本棚を見ながら順不同で選んだのは次の通り。

      ・わんぱく天国 他一連のコロボックル物語   佐藤さとる
      ・ドグラ・マグラ 他一連の著作           夢野久作
      ・忘れられた日本人 他一連の著作        宮本常一
      ・アルジャーノンに花束を               ダニエル・キイス
      ・ウォーターシップダウンのうさぎたち        リチャード・アダムス
      ・指輪物語                        J・R・R・トールキン
      ・十二番目の天使           オグ マンディーノ
      ・蒼穹の昴               浅田次郎
      ・帝都物語               荒俣宏
      ・流星ワゴン              重松清
      ・閉鎖病棟               帚木 蓬生
      ・日本のいちばん長い日          半藤一利
      ・それでも日本人は「戦争」を選んだ   加藤陽子
      ・それでも僕は夢を見る          水野敬也×鉄拳
      ・Human なぜヒトは人間になれたのか  NHK取材班
      ・「痴呆老人」は何を見ているか      大井玄
      ・敗北を抱きしめて             ジョン・ダワー
      ・江戸へようこそ               杉浦日向子
      ・東電OL殺人事件             佐野眞一
      ・キネマの天使               原田マハ
  
 好んで読むジャンルは、ミステリーやファンタジーが多いこと。あと、藤沢周平、葉室麟 、宮部みゆきの江戸物、池波正太郎なんかも好きでよく読むけれど、敢えて古今東西の人気作家は一覧表からは除きましたとコメントをいれました。

 そして数日後、書店側から提示されたのものが次の通り。

      ・始祖鳥記             飯嶋和一
      ・逝きし世の面影         渡辺京二
      ・静かな大地            池澤夏樹         
      ・モリー先生との火曜日     ミッチ・アルボム
      ・リーチ先生            原田マハ         
      ・死者は語らずとも        フィリップ・カー
      ・京の職人衆が語る桂離宮   笠井一子

 この内、始祖鳥記は読んだことがあると伝えたところ、

      ・櫛挽道守          木内昇  を提示されました。

 そしてまた数日後、丁寧に梱包された本とともに、岩田徹氏の丁寧なお手紙(サインは直筆)と、なんと砂川市長からの手紙(勿論印刷ですけど)が入っておりました。

 なかなか時間がとれず、また、読む本が山積している中で、今のところ、「死者は語らずとも」と「京の職人衆……」が読破できておりませんが、すべて私の嗜好にドンピシャな本ばかりでありました。よくぞ、民族学的興味、江戸文化好き、少々哲学的要素が加味された内容、それでいてファンタジー大好きな一方、ミステリーも好き、でもラストはハッピーエンドが好き、という私の趣味あった本を選んでくれたものです。
 それぞれのレビューは、ソニーの本屋かアマゾンに書きましたので、興味がある方はご覧下さいませ。

 だいたいが、これ面白いよ!と他人に勧められても、う〜んと思ったり、また逆に他人に勧めても、こちらが思うような反応が返ってこないのが普通ですよね。
 しかし、流石に大量の本を扱っている書店主の豊富な経験から導き出した多岐にわたるジャンルの本は、総てが私のココロを揺り動かすものばかりでありました。
 とくに、「櫛挽道守」や「静かな大地」は、沢山の文庫本が並んでいる書店では、手に取ることさえしなかったでしょう。いやはや店主の力量に感服した次第であります。
 もし、興味がある方は、「一万円選書」で検索してみてくださいな。

(ねむり姫 58歳)