ウォーキングしながら考えること

平成28年7月〜12月ネット上にて公表 

 完全隠居生活を始めた3年前から、運動不足解消のためウォーキングを始めました。散歩ではありませんので、不動産表示の徒歩1分80メートルよりは、かなり早足です。本当は毎日歩けば良いのでしょうが、なかなか時間がとれず、天候の関係もあって、今は週に2回、1万3〜4千歩を目処に歩き回っています。働いていた時も、通勤の往復だけで1万歩は超えてましたので、大した歩数ではないはずですが、連続して2時間以上歩くと、家に帰る頃にはいつも足が筋肉痛であります。でもまぁ、体重は増えてないので、バランスがとれているのでしょう。

 さて今回の話題は健康面についてではなく、歩き回りながら思うことであります。

 勿論、自宅から往復2時間半程度の所を、コースを決めずに歩き回るのですから、新しい発見がその都度あります。知らなかった店、知らなかった寺や神社。おや、こんな所にもデイサービスの施設ができた、なんてこともしばしば。

 いつもお供え物がある、何を奉ってあるかもわからない祠、これまで気がつかなかったサクラ並木等々。立派な家、手入れの行き届いた庭。普通の家の庭にあるお稲荷さん。そうそう、立派な格子戸の門構えの向こうに、二宮尊徳像を見たときは流石に足が止まりました。小学校にあるアノ像ですよ。吃驚しましたよ。住んでいる方は、昔先生だったのかなぁ。

 と、ここまでは、単なる景色の話ですが、風景の中身も昔に比べるとやはり変化を感じます。高蔵寺ニュータウンは1968年に最初の入居が始まったとのこと。オヤジが家を建てて、我々一家が引っ越してきたのは1971年、私が中学に入学する年でした。その頃は中学校は一つしかなく、毎月の様に転校生が来るという実に活気溢れる学校でありました。あれから45年。

 当然、最初から住んでいる方々の高齢化は否めません。中学の同級生で近くに住んでいる友人もいるにはいますが、遠くに行かないまでも、大抵は家を出て、ニュータウン内の団地やマンションに住んでいます。我が家の周りも世代交代ならぬ、持ち主交代が進んでいます。

 持ち主が土地を売る際、それを住宅メーカーが購入し、建て売りにして販売するケースが最近多い様な気がします。これは、税金の関係でしょう。ところが、その家がなかなか売れていかない。10年程前ならば、この辺りの家ならばすぐ買い手がついたんですけどね。

 新築として売れるのは、完成後1年と決まってますから、結構大変だよなぁ、と思います。ゼロ金利政策でローンが組みやすくなったといっても、正社員でなければ手は出せないでしょうし、一方で、今の企業の平均寿命は30年と言われているそうだしね。また一戸建てばかりでなく、10部屋くらいの2階建てアパートは、古いのも新築モノも含めて、空き部屋が妙に目立ちます。人口が減少傾向だからでしょうか。公団住宅にも空き部屋があるようです。そのくせ都会の一等地の地価は上昇傾向でバンバン新しいビルが建っているし、都心の億単位のマンションもよく売れるんだとか。外国資本も入ってきているんでしょう。大丈夫なんでしょうか。これから50年も経過したら廃墟になってしまうかも。

 そもそも何故、物価を上昇させ、GDPを上げることを政策目標にするのでしょうか?日本よりGDPが高い国は、アメリカと中国で、そのような国になりたいですか?と聞かれれば、多分誰しも否と答えるのではないのかなぁ。もし完全に自給自足が出来るならば、GDPはゼロでしょうに。

 一部の人間に富を集めて、マネーゲームに興じてもらえば、GDPは上がるでしょうね。でも、真の金持ちは今更欲しいものなどないでしょうし、その恩恵は庶民には回ってきませんよね。もはや一億総中流意識なんていうのは、昔話に過ぎません。折も折、パナマ文書の公開が話題を呼んでいます。違法でないとうそぶいてますが、資産を増やすため、ただその為だけの行為がまかり通っている、このことがおかしいんじゃないの?ということですよね。

 イギリスのEU離脱も、格差社会が大きな要因の一つでしょう。政策担当者に貧困層の人はいませんからね。たぶん、人心を読み違えたんでしょうね。

 人の幸せというものは人それぞれで、総ての人が幸せを感じるというのは、所詮無理なのかもしれませんが、何か新しい社会の仕組み、新しい経済の構造が必要なのだと思います。

 日本では団塊の世代が年金生活をおくるようになってきました。今まで40年近くサラリーマンをまじめにやって来た人は、それなりの年金をもらうことが出来ます。これまで企業戦士として苦労した甲斐があったというモノです。

 でもその額が、20代の普通の若者達の年収より多いというのは、どうなんでしょうか?年収手取り240万と、年金世帯合計240万では、まったく意味合いが違います。しかし、だからといって、今更年金を大幅カットなどしたら、生活設計が成り立たなくなるだろうし。

 どぉ〜したもんじゃろのぉ〜と思いながら、歩き回っている今日この頃の私なのであります。


(ねむり姫 57歳)