デフレの正体?
平成25年1月〜6月ネット上にて公表
森永卓郎氏が「庶民は知らないデフレの真実」という面白い本を出しました。副題に「貧乏人は読んではいけない」とあります。(笑)
なんでも、森永氏は、テレビ出演や著作、講演など休みなく働いたおかげで、3億円の資産を持つ、所謂「お金持ち」になってしまったとそうです。そしてこの本は、そのお金持ち目線で書かれた経済分析、評論なのです。(勿論、皮肉と逆説なんですが…)
曰く、日本はお金持ちにとって実にありがたい社会だ。だって、こぞって、デフレに誘導してくれているから。ホントにホントにありがとさん…なんだそうです。
ようは、金持ちは景気の回復なんぞ望んでいないということです。
これは考えてみれば簡単な話で、たとえば、3億円の現金資産を持っていて、毎年1%のデフレが進むと仮定すれば、毎年利子が300万円付くのと同じなんですね。しかも、この利子には税金のかけようがない!源泉分離課税もかかりませんからね。
また、法人税、所得税の減税を進めて、その埋め合わせで消費税アップというのは、金持ちにはとってもありがたい。金持ちはそもそも金持ちだから、今更欲しいモノなどそうはない。しかも、たいてい会社を経営しているから、経費で落とすことも可能だし、消費税は仕入れ控除で相殺されてしまう。
それに金持ちは、金に金を稼がせることができるわけで、たとえば、鳩山由紀夫氏のブリヂストン株の配当金は、年に7千万円とのこと。これ毎年毎年寝ていても、これだけで7千万円が懐に入る勘定となります!しかも24年3月までは、軽減税率で10%の税率なんだそうな。へぇそうなんやぁ。それで趣味で総理大臣やられてもなぁ。
とまぁ、ここまでは、ふ〜んという話なんですが、問題なのは、今後の予測ですよ。
それによれば、2014〜15年頃、震災恐慌が訪れるであろうということ。つまり関東大震災、阪神・淡路大震災の時と同様、復興需要が途切れたときが危ないというわけです。確かに、阪神・淡路の後は、ちょうどそのタイミングで消費税が上がったりして、銀行や証券会社なんかがバタバタ倒産しました。今回も同じ轍を踏もうとしているぞというわけです。
今でも金持ちと貧乏人の二極化は進んでいるんでしょうが、今度震災恐慌が起これば、どこかの国のように、目も当てられないような格差社会が訪れる可能性があると予測しています。
技術や技能がない労働者の賃金は、ガタガタに下がるでしょう。そうなれば、金持ちは、ほんの百数十年前の明治時代同様、大勢の執事やお手伝いさんに囲まれて、優雅な生活ができる。金持ち万歳〜!ってなわけです。(言ってくれるやないか!)
そして、本の最後の最後に、今後来るべき世にどう対処するか、我々庶民に向けたメッセージがあります。ここが肝心要の肝となるわけですが、それはまぁ本を読んで下さいな。あんまり内容を明かすと叱られそうですからね。
考えてみれば、かつて日本人が「一億総中流意識」を持っていたなんて、まるでウソのような話です。日本は、自由主義経済圏に属していても、実際はまれに見る社会主義国家だったことは周知の事実です。でも最近は、市場至上主義の自由競争礼賛が中心となってます。小泉改革には国民こぞって賛成してましたが、結構弱者の立場の人が支持していたのが、私にも不思議でした。わかってるのかなぁと。市場至上主義は、強い人には願ったりかなったりの社会ですけどね。
四大権力、つまりアメリカ、官僚、財界、そしてマスメディアが、今日まで日本を牛耳ってきたというのが、森永先生の主張です。当初の民主党政権は、これらに全てに反旗を翻すモノでした。
掟破りの普天間移転問題は、良くも悪くも初めてアメリカに反発したことですし、国会論戦からは官僚を閉め出そうとし、財界を無視した政策をとり、記者クラブも廃止しようとしました。ま、すべて挫折して、元の木阿弥状態ですけど…。
教訓として言えることは、、メディアの報道や世相の雰囲気に惑わされることなく、個人個人が日々勉強し、自分の頭で考え行動することだと思います。庶民は騙しやすい存在だと、権力側に思わせてはならないのです。バンドワゴン効果なんぞ糞食らえの心意気が必要です。
とはいえデフレに関してはねぇ、
今や全人口の25%近くが65歳以上でしょ。これ有権者にすると30%近くになり、20代と30代を合わせた比率と同じくらいになるそうな。
所謂「お金持ち」じゃなくとも、財政再計算により、ちゃんと物価スライドしてくれる年金に加え、これまで一生懸命ため込んだ貯蓄で優雅な生活をしている人も少なからずいるわけですよ。そんな彼らにとって一番怖いのはインフレ。つまり、デフレがず〜と続いた方がいいよなぁと思っているのは、森永先生の言うお金持ちだけじゃないということです。若い世代は、ホントに真剣に考えないと、大変なことになりそうではないですか?
極貧と金持ちという究極の格差社会ともなれば、金持ちは、安〜い給料でミタさんか市原悦子みたいな家政婦を雇うことができるぞなんて、考えたとすれば。。。
さて今度の政権はインフレターゲットを設けることを謳い文句にしてますけど、そんな単純な問題なんでしょうか。インフレになって、物価もGNPも上がったけど、庶民の給料だけは上がらないという状況になりはしませんかね。
もっともそんなことより、最近は時代錯誤的なタカ派傾向が気になりますな。ここでも最前線に立つのは、若者ですからね。
どうなるニッポン?どうするニッポン!
(ねむり姫 54歳)