昭和61年10月30日 中日新聞朝刊 発言欄掲載

<自由投稿>

−以下は掲載されたモノそのものであり、ねむり姫の原稿とは若干異なる部分あり−


「感想文よりも、まず読ませよ」(タイトルは新聞社が決定)

 最近の本欄に、読書感想文について、さまざまなご意見が載っていた。大切なことは活字離れの現代っ子達にもっと本を読む楽しさを知ってもらうことであり、感想文を書く行為がマイナス要因に働くのなら、無理して書かせることはないのではないか。

 何よりもまず本を手に取らせることが重要なのだ。一冊の本を読んで、人生が大きく変わることもある。とくに小説は人の生き方を教えてくれる。
 どんな金持ち、長生きの人でも人生は一つしかない。実体験に裏付けられた人生観も大切だが、小説の中の主人公とともに悩み、悲しみ、喜ぶ中から何種類もの人生を経験することができるのだ。

 人の心の痛みを理解する人は、他人に優しいという。素晴らしい文学との出合いは素晴らしい人生の師との出合いなのだ。

(ねむり姫27歳の時、投稿)