昭和53年8月27日 中日新聞朝刊 発言欄掲載

<テーマ「漫画ブーム」に対する課題特集>

−以下は掲載されたモノそのものであり、ねむり姫の原稿とは若干異なる部分あり−


「人生の友、万歳!」(タイトルは新聞社が決定)

 世は漫画ブームでファンにとってはうれしい限りだが、その一方、いろいろ問題にしたい人も多いようだ。その中に、漫画を頭から軽蔑し、低俗な物と決めつけている人はいないだろうか。

 漫画の内容は低俗な物もあるにはあるが、読者の人生観を変えてしまう小説、”罪と罰”に匹敵するような漫画も数多くある。池田理代子だったと思うが、「私には小説家のような文才はない代わりに、絵があるのです」というようなことを言っている。

 僕は永島慎二の青年漫画に共鳴し、浪人中はあの沖田十三の一言、ひとことに何度も励まされた。エースをねらえ、火の鳥、はだしのゲン、ペン画としても評判の高い水木しげるの妖怪物……あげればきりがない。これらの作品に何も感じない人は、社会の泥に染まり、幼い日、絵本や童話を見て涙した純粋な心をもはや失ってしまったのだろう。

 僕にとって漫画は、文学作品とともに人生の心の友なのである。

(ねむり姫19歳の時、投稿)